アルノー・キンツ (Arnaud KIENTZ)バリトン

声楽を、ギ・ショヴェ、ジャック・ボナ、ジャン=クリストフ・ブノワ、モニック・エルヴァル、リオネル・パントル、クリスチャン・パピ、マルコム・キングのクラスで学ぶ。さまざまなコンクールで優勝し、メダルを獲得したのちに、1998年に、メトリーズ・ド・ノートルダム・ド・パリ合唱団に入り、マルタン・イセップ、ウド・ライネマン、ポール・エスウッドのマスタークラスで指導を受ける。その後、ジャニンヌ・ライス夫人とニューヨークのオーケストラ指揮者兼合唱指揮者のトマス・ムラコのもとで、音楽・声楽の基礎を確固たるものとする。

アルノー・キーンツは、非常に幅広い声域とすこぶる優れた技巧を備えた声をもち、得意とするイタリアベルカントの要求度の高い役柄のなかで、その本領を発揮する。モーツアルトの作品や、バロック、フランス、イギリス、イタリアの歌曲といったレパートリーおいても、同様のことが言える。同時に、ディクションや譜面の読解力・表現力に優れていることから、リサイタル歌手として注目されている。

また、現代オペラのレパートリーへの関心から、マルク・コワルクジックのオペラ、『潔白の罪』の初演や、作曲家エリオス・アズレ―の『インシデンタル・ミュージック』作品群の初演で、主役を歌い、かつ録音に至っている。さらに、いくつかのヴォーカル・アンサンブルで、オラトリオも歌っている。

オペラ歌手としての活動と並行して、声楽教育にもかかわり、数年前から情熱をもって教育に携わっている。そのおかげで、なかでも、2013年9月/10月のマスタークラスで、ルッジェ―ロ・ライモンディの傍らで働く幸運に浴したことが挙げられる。これは「欧州文化都市・マルセイユ・2013」記念の際に、欧州連合 ( EU )の「若者の移動促進」キャンペーンの枠組みで、欧州委員会がマルセイユで主催したものである。

ラ・ボール市の「アンスタン・ミュジコー」フェスティバルでの講演の経験もあり、学校での音楽教育にも携わっている。たとえば、2015年にはデュニィ市(セーヌ・サンドニ県)のポール・ランジュヴァン校で、外部からの非常勤教師として教えた経験や、トラップ市(イヴリンヌ県)の「第二のチャンス学校(資格を持たず失業している若者救済施策)」に、オペラコミック座とパートナーシップを組んで、教師として参加し、「卒業」に向けた研修生の養成に携わった経験が挙げられる。